2025年日本の中古車リース市場動向と自動車産業トレンド

2025年の日本の中古車およびリース車市場は、新車の安定供給を背景に中古車登録台数が増加し、市場全体での取引も活発になっている。中古車の価格は高い水準を維持しつつ、一部のプレミアム車種では相場の安定が見られる。新車リースから中古車市場への車両流入も増加している。また、法人・個人双方でのオートリース需要は回復・拡大傾向にあり、政府の脱炭素政策によるハイブリッド車（HEV）需要の高まりも注目されている。

中古車・新車登録台数の増加と市場の状況

2025年3月の統計データによると、新車登録台数は前年同月比で122.1％、中古車登録台数は149.3％と、いずれも増加しています。特に新車は数か月連続で前年を上回り、供給が比較的安定しています。この新車の供給増加により、中古車市場への車両流入が促され、中古車販売台数は例年の繁忙期に70万台を超える水準が維持されています。

一方で、2024年度末時点ではオークション市場の中古車成約価格が高止まりしており、車両不足の状況が続いていました。2025年に入ってからは新車供給が安定したことを受けて、一部の仕入れ価格の高騰はやや落ち着いてきていますが、市場全体の需給は依然として高い水準で推移しています。特に人気のあるハイブリッド車や軽自動車の価格は堅調であり、これらの車種は耐久性や維持費の低さが評価され、法人・個人ともに需要が根強い傾向にあります。

また、気候変動対策の強化に伴い、環境性能が高い車両が優遇される社会的な流れも価格形成に影響を与えています。中古車市場における価格動向を踏まえた上で、賢い車選びやリース契約の検討が求められています。

中古車リース市場の動向と法人・個人のニーズ

2025年3月時点で国内オートリース市場の車両保有台数は約435万台となっており、法人向けリース車両はコロナ禍前の水準に回復し、それをわずかに上回る動きも見られます。個人向けリース市場も拡大傾向にあり、新規事業者や新サービスの参入によって市場の注目が高まっています。

リース車両数の増加は中古車市場における再流通車両の増加につながるため、法人のリース車両保有数の回復は中古車市場の供給増加に寄与すると考えられています。また、個人向けリースの拡大により、幅広い世代や消費者層がリースを利用し、市場の裾野が広がる傾向です。

法人ニーズの特徴としては、コスト効率の追求や環境規制への対応が重視されており、多くの企業がハイブリッド車や燃費効率に優れた中古車のリースを選択しています。対して個人ユーザーは、車両購入にかかる初期費用の軽減やメンテナンスがセットになったリース契約を好む傾向が強く、ライフスタイルに合った柔軟なプランが人気です。

さらに、サブスク型のフレキシブルなリースプランやオンラインでの手続き完結を可能にするサービスも増加傾向にあり、顧客体験の向上が市場拡大を後押ししています。

脱炭素政策の影響による車両の電動化とハイブリッド車の需要

日本政府は2050年までのカーボンニュートラル実現を目指し、2035年までに乗用車の新車販売を電動車（EVを含む）に段階的に切り替える計画を掲げています。これを踏まえ、自動車メーカーは電動化技術の開発と供給を強化しています。

2025年の時点では、電気自動車（BEV）は価格の高さや充電インフラの制約などの課題が残っているため、オートリース市場や中古車市場では燃費性能に優れたハイブリッド車（HEV）が引き続き主流となっています。法人を中心にHEVへの入れ替えが進む一方、BEVの導入に関する相談は増加していますが、導入には慎重なケースも多く見受けられます。

特に法人においては、社用車の稼働形態やインフラ整備の現状からHEVを継続利用するケースが主流であり、短期的な導入コストや運用面の効率性が重視されています。これに対して個人ユーザーの間では、環境意識の高まりに加え、政府の助成金制度活用によりBEV購入への関心が徐々に増していますが、まだまだ市場全体で見ると普及はこれからの段階です。

今後は中古車市場にもBEVの登場が増え、バッテリーの劣化やリース終了後の車両評価などの新たな課題に対応できる体制構築が不可欠となるでしょう。

IT・AIの導入による販売効率化と市場の動向

中古車販売では、AIを利用した価格自動調整機能などの技術活用が進んでいます。中古車販売管理システム「symphony」では、AIが需給バランスをリアルタイムで分析し、適切な価格設定を提案する仕組みを提供しており、販売業者の効率的な販売戦略の立案を支援しています。これにより、競争が激しい市場環境の中でも収益性の向上を図っています。

また、多様な顧客ニーズに対応するため、車種別、年式、走行距離、価格帯、およびカラー別の販売データ分析が進み、より細かい市場セグメントの理解が可能となっています。デジタルトランスフォーメーション（DX）を取り入れることで、多くの企業、特に中小事業者が業務効率化と収益向上に努めています。

加えて、リース契約におけるオンライン審査や電子契約の導入も進展しており、顧客が店頭に足を運ばずとも契約完結が可能な環境が整いつつあります。これにより、リース普及の障壁が低くなり、リース市場全体の拡大に寄与しています。

今後はAI技術の高度化に伴い、顧客のライフスタイルや走行データに基づくパーソナライズされたリースプランの提案など、新たなサービス開発も期待されています。

中古車市場における車種の傾向と輸入車の状況

2025年の中古車市場では、軽自動車が国内車種の中で引き続き人気を保っています。車種別ではトヨタ・プリウスなどのハイブリッド車が根強い支持を集めており、中古車市場におけるHEVの存在感が示されています。

輸入車に関しては、BMW MINIが人気の車種として安定しており、高価格帯の車種（メルセデス・ベンツGクラス、ポルシェ911など）も一定の需要があります。特にコンパクトカーやハッチバックタイプが市場で安定したシェアを持っています。

輸入車市場では為替の影響や輸入コストが価格に反映されやすいものの、独自性やブランド価値、走行性能の高さから一定のファン層を獲得しています。中古輸入車の流通量も増加傾向にあり、多彩な選択肢を求める消費者にとって魅力的な市場となっています。

企業の戦略と今後の市場の見通し

2025年に入ってからは、大手企業による中古車リース市場への新規参入やサービスへの投資が活発化しています。オークション以外の仕入れルートの開拓やスタッフ教育の強化、さらにDXによる生産性向上策が進められています。

中小事業者においては、デジタル化と業務効率化が競争力維持において重要な要素となっています。中古車リース市場は今後も成長が見込まれており、法人・個人双方の多様なニーズに対応したサービス展開が求められる状況です。

加えて、環境規制強化や顧客の価値観変化に対応するためのエコカー推進や、カーシェアリングとの連携も模索されており、多角的なサービス展開が重要視されています。今後数年以内に自動車の電動化がさらに進展する中で、リース市場の成長と変革は加速すると考えられます。

新たに注目される中古車リース市場の「保証サービス」とアフターケアの重要性

2025年に入り、価格動向や車種選定の多様化に加えて、中古車リース契約後の保証サービスやアフターケアに対する関心が急速に高まっています。中古車は年式や走行距離によって品質にばらつきが出やすいため、安心してリース契約を結べる保証制度の充実は、法人・個人双方の顧客にとって非常に重要な要素です。

車選びドットコムの「symphony」などでは、車両の仕入れから販売後サービスまで一元管理されており、購入者やリース利用者が安心できるサポート体制の強化に力を入れています。具体的には、リース期間中の定期点検や故障時の修理保証、交換部品の無償提供などが充実しており、特に法人ユーザーにおいては業務効率を妨げない迅速なサポートが評価されています。

また、個人向けリース市場では、メンテナンスパック付きプランやカスタマイズサービスの提供が増え、購入後のケアと顧客満足度向上を目的とした商品設計が進んでいます。これにより、リース契約のハードルが下がり、より広範な世代やライフスタイルの顧客層に対応できるようになってきました。

さらに、オンライン契約と併せて保証やアフターサービスの透明化・追跡が可能なデジタルプラットフォームも整備されており、顧客はスマートフォンやPCから車両のメンテナンス状況を閲覧できるなど利便性が向上。これらのサービス拡充は、中古車リース市場の信頼性向上と長期的な成長に不可欠な要素として、2025年以降も注目されています。

日本の文化的背景と自動車リース制度についての理解

日本では車の所有に対する価値観が世代や地域で多様であり、公共交通網の発達状況によっても利用ニーズに差があります。これらの文化的・社会的要素はリース市場の受容性やサービス設計に影響を及ぼすため、今後の市場分析や新サービス開発における重要な視点となるでしょう。

まとめ

2025年の日本の中古車リース市場は、新車供給の安定を背景に中古車登録台数が増加し、価格は高水準にあるものの、一部で調整が進んでいます。オートリース市場では法人向け車両がコロナ禍前の水準に回復し、個人向けも拡大傾向を示しています。政府の脱炭素政策によりハイブリッド車の需要が高まる一方、電気自動車の普及に向けた準備も進められています。AI導入を含むデジタル技術の活用により販売効率が高まり、業界全体の競争力向上が図られている状況です。法人・個人双方の多様なニーズが共存し、サービスの多様化と利便性向上が進むなか、環境対応車両の普及動向や社会文化的背景の理解が市場発展の鍵となっています。加えて、保証サービスやアフターケア体制の充実が顧客の安心感を高め、市場拡大に寄与している点も見逃せません。日本の中古車リース市場は今後も成長が期待され、さらなるイノベーションによる変革が見込まれています。