親戚も友人も来なかった”家族葬” - 葬儀社からの請求額はいくらだと思いますか？

親戚や友人を招かず、ごく近しい家族だけで見送る家族葬は、「小さいお葬式だからあまりお金はかからないはず」と考えられがちです。ところが、実際の見積書や請求書を見て「人数のわりに高い」と感じる人も少なくありません。ここでは、日本で一般的に行われている家族葬について、費用の目安から内訳、相場の比較、そして無理のない範囲で費用を抑えるコツまで、順を追って整理していきます。

家族葬の費用はどのくらいかかるのか

まずおおまかな金額感を知っておくと、見積もりを見たときに判断しやすくなります。日本で行われる家族葬（通夜・告別式あり、10〜30名程度）の総費用は、葬儀社への支払いと寺院（宗教者）へのお布施、飲食・返礼品などを含めると、およそ40万〜150万円程度に収まることが多いとされています。規模や地域、会場のグレード、宗教形式によっては、これより高くなる場合もあります。

「親戚も友人も来なかった家族葬」であっても、会場使用料や火葬料、棺や遺影などの基本的な費用は、参列者の人数とはあまり連動しません。そのため、人数が少ない＝極端に安くなるとは限らない点を、まず押さえておくと良いでしょう。

家族葬の料金に含まれる項目とは

家族葬の料金には、さまざまなサービスや物品がまとめて含まれています。一般的な「基本プラン」に含まれることが多い主な項目は、以下のようなものです。

• 祭壇（生花祭壇または白木祭壇）
• 棺、棺用布団一式
• 遺影写真の作成
• 納棺や安置のサポート、ドライアイス一定量
• 会場使用料（式場使用や控室の一部）
• 司会進行や式の運営スタッフ、人件費
• 寝台車・霊柩車による搬送（規定距離まで）

一方で、プランに含まれないことが多いのが、通夜振る舞いの料理、精進落としの食事、返礼品や香典返し、追加のドライアイスや安置日数の延長、火葬場までのマイクロバスなどです。見積書では「基本料金」と「追加オプション」が分かれていることが多いので、どこまでが含まれているのかを必ず確認することが大切です。

家族葬費用の平均的な内訳

総額が同じ家族葬でも、どの項目にどれだけかけるかによって内容は大きく変わります。一般的な通夜・告別式を伴う家族葬で、よくある費用配分の一例を示すと、おおよそ次のようなイメージになります。

• 葬儀社への支払い：全体の50〜70％（会場費、祭壇、棺、運営費など）
• 火葬料・火葬場関係費：数万円〜数十万円（自治体によって大きく異なる）
• 飲食費（通夜振る舞い・精進落とし）：1人あたり数千円×人数分
• 返礼品・香典返し：1件あたり1,000〜5,000円程度×件数分
• 寺院（宗教者）へのお布施：数万円〜数十万円程度（地域・宗派・お付き合いによる）

親戚も友人も参列しない家族葬の場合、飲食費や返礼品の費用は比較的抑えやすい一方で、祭壇や会場にかかる基本費用はあまり変わりません。そのため、どこまでを「必要な内容」と考えるかを家族で話し合っておくと、納得感のある支出になりやすくなります。

家族葬費用の相場を比較する

実際にどのくらいの金額で家族葬プランが提供されているのか、国内でよく知られている事業者を例に、おおまかな相場感を整理してみます。ここで挙げる金額は、公式サイトなどで公表されているプラン料金や一般的な価格帯をもとにした目安であり、地域や時期、オプションの有無によって変動します。

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Product/Service	Provider	Cost Estimation
家族葬プラン（通夜・告別式あり／30名程度）	小さなお葬式	約650,000〜900,000円
家族葬プラン（ホール利用／少人数向け）	イオンのお葬式（イオンライフ）	約600,000〜1,000,000円
家族葬プラン（式場利用／宗派問わず）	よりそうお葬式	約500,000〜900,000円
家族葬プラン（都市圏ホール利用）	公益社などの式場運営会社	約700,000〜1,200,000円

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価格や料金、費用に関する記載は、利用可能な最新情報をもとにした目安であり、今後変更される可能性があります。実際に契約する前に、必ずご自身で最新の情報を確認し、比較検討してください。

同じ家族葬プランでも、祭壇のグレード、生花の量、ホールの広さや立地、安置期間、深夜搬送の有無などで金額は大きく変わります。また、「火葬のみのプラン」や「通夜を行わず告別式のみのプラン」など、さらに簡略化されたプランを選ぶと、総額を抑えられる場合もあります。ただし、安さだけで選ぶと、当日に必要なものがオプション扱いになり、結果的に追加費用がかさむケースもあるため、内容を確認しながら比較することが重要です。

家族葬で費用を抑えるためのポイント

親戚や友人を呼ばない静かな家族葬であっても、内容を工夫することで無理なく費用を抑えることができます。基本的な考え方は、「人数にかかわらず固定されやすい部分」と「人数や選択内容で変動しやすい部分」を分けて考えることです。

固定されやすいのは、会場費、棺や祭壇、搬送費用などです。ここでは、グレードを少し落としてもよいか、ホールではなく公営の斎場や火葬場付設の式場を利用できないか、といった点を検討すると差が出やすくなります。変動しやすいのは、飲食費や返礼品の数、供花の量などです。参列者がごく少ない場合は、料理や返礼品を最小限にとどめても不自然になりにくいため、総額を下げやすい部分と言えます。

また、複数の葬儀社から見積もりを取り、プランの中身を比較することも有効です。同じ金額帯でも、含まれるサービスやサポートの範囲が異なることがあります。事前相談で「本当に必要なこと」と「なくてもよいこと」を整理し、自分たちの希望に合ったプランを選ぶことで、「人数のわりに高い」と感じにくい家族葬に近づけることができます。

家族だけで静かに見送る家族葬は、形式よりも故人との時間を大切にできるお別れの形です。一方で、どのような内容にするかによって費用は大きく変わります。おおよその相場や内訳を知り、複数のプランを比較しながら、自分たちの価値観や予算に合ったやり方を検討していくことが、後悔の少ない見送りにつながります。